はじめに|なぜ今、遺言書が大切なのか
「遺言書」と聞くと、資産家や特別な事情のある方だけが必要なもの、と思っていませんか。実は、遺言書はごく普通のご家庭でこそ役立つものです。ご自身の思いを正しく伝え、大切なご家族が相続の際に困らないようにするための、いわば「最後のお手紙」であり「大切な備え」です。
神戸市にお住まいの40代から70代の皆さまの中にも、「そろそろ終活を考えたい」「でも遺言書ってどう作ればいいの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。この記事では、遺言書の種類とそれぞれの作り方について、わかりやすくご説明します。
遺言書があるとどう変わるのか
遺言書がない場合、相続は法律で定められた「法定相続」に従って分けられます。しかし現実には、「誰がどの財産を受け取るか」をめぐって、仲の良かったご家族が争いになってしまうケースが少なくありません。
遺言書があれば、次のようなメリットがあります。
- ご自身の意思で財産の分け方を決められる
- 相続手続きがスムーズになり、ご家族の負担が減る
- お世話になった方や特定の人へ財産を残せる
- 相続トラブル(争族)を未然に防げる
「うちは財産が少ないから大丈夫」と思う方こそ注意が必要です。相続争いの多くは、決して大きな資産をめぐるものばかりではないのです。
遺言書の主な3つの種類
遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的に使われるのは次の3つです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 自筆証書遺言
もっとも手軽に作れるのが「自筆証書遺言」です。その名の通り、ご自身で全文を手書きする遺言書です。
メリット
- 費用がほとんどかからない
- いつでも自分ひとりで作成できる
- 内容を誰にも知られずに済む
デメリット
- 形式に不備があると無効になる恐れがある
- 紛失や改ざんの心配がある
- 発見されないこともある
なお、財産目録についてはパソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることが認められています。また、2020年からは法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。これを利用すれば、紛失や改ざんのリスクを大きく減らせます。
2. 公正証書遺言
「公正証書遺言」は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。もっとも確実で安心な方法とされています。
メリット
- 公証人が作成するため形式の不備がなく、無効になりにくい
- 原本が公証役場に保管されるので紛失・改ざんの心配がない
- 家庭裁判所での「検認」が不要で、すぐに手続きに使える
デメリット
- 作成に費用がかかる(財産額に応じて数万円程度)
- 証人が2人必要になる
- 公証役場へ出向く手間がかかる
確実性を重視する方や、財産が多い方、相続人が複数いる方には特におすすめの方法です。
3. 秘密証書遺言
「秘密証書遺言」は、遺言の内容を誰にも知られずに、その存在だけを公証役場で証明してもらう方法です。ただし、内容のチェックは行われないため不備のリスクがあり、現在ではあまり利用されていません。まずは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つを知っておけば十分でしょう。
自筆証書遺言の書き方のポイント
手軽に始められる自筆証書遺言ですが、いくつかのルールを守らないと無効になってしまいます。基本のポイントを押さえておきましょう。
必ず守るべき4つのルール
- 全文を自筆で書く(財産目録を除く)
- 作成した日付を正確に書く(「令和○年○月○日」と明記。「吉日」は無効)
- 氏名を自筆で書く
- 押印する(実印が望ましい)
書くときの注意点
- 財産は具体的に書く(不動産は登記簿の通り、預金は銀行名・支店名・口座番号まで)
- 「誰に」「何を」渡すかを明確にする
- 訂正する場合は決められた方法で行う(不安なときは書き直すのが安心)
- 消せるボールペンや鉛筆は使わない
少しでも不安がある場合は、専門家に相談したり、公正証書遺言を選んだりすることをおすすめします。
遺言書を作る前に整理しておきたいこと
いきなり遺言書を書き始めるのではなく、まずは次の準備をしておくとスムーズです。
財産の棚卸し
預貯金、不動産、株式、保険、借入金などを一覧にまとめてみましょう。ご自身の財産の全体像が見えてくると、分け方も考えやすくなります。
誰に何を残したいかを考える
ご家族一人ひとりの状況を思い浮かべながら、どのように分けるのがよいかをじっくり考えてみてください。「遺留分(相続人が最低限受け取れる権利)」にも配慮すると、後々のトラブルを防げます。
付言事項で思いを伝える
遺言書には、財産のこと以外に「付言事項」として家族へのメッセージを書き添えることができます。「これまでありがとう」「みんな仲良く」といった一言が、ご家族の心を温め、争いを防ぐ力にもなります。
まとめ|遺言書づくりは終活の第一歩
遺言書は、ご自身の思いを形にし、大切なご家族を守るための備えです。手軽な自筆証書遺言から、確実な公正証書遺言まで、ご自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。まずは財産の整理と「誰に何を残したいか」を考えることから始めてみましょう。
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