成年後見制度とは?
「最近、親の物忘れが増えてきた」「将来、自分の判断力が衰えたときのお金の管理が心配」——こうした不安を抱えている方は少なくありません。年齢を重ねるにつれて、認知症や病気などにより判断能力が低下することは、誰にでも起こりうることです。
そんなときに、本人の財産や暮らしを守るために設けられているのが「成年後見制度」です。これは、判断能力が不十分になった方に代わって、信頼できる人(後見人など)が財産管理や契約などの手続きをサポートする仕組みです。
この記事では、神戸市にお住まいの40代〜70代の方に向けて、成年後見制度の基本から利用方法、注意点までをわかりやすくご紹介します。
成年後見制度の2つの種類
成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 法定後見制度
すでに判断能力が低下している方を支援するための制度です。家庭裁判所が、本人の状態に応じて適切な支援者(後見人・保佐人・補助人)を選びます。本人の判断能力の程度によって、次の3つの類型に分かれます。
- 後見:判断能力がほとんどない方が対象
- 保佐:判断能力が著しく不十分な方が対象
- 補助:判断能力が不十分な方が対象
類型によって、支援者ができることの範囲が異なります。たとえば「後見」では、財産管理のほぼすべてを後見人が担うことになります。
2. 任意後見制度
こちらは、まだ判断能力がしっかりしているうちに、将来に備えてあらかじめ支援者を決めておく制度です。「将来、自分が認知症などになったら、この人に財産を管理してほしい」とご本人が信頼できる方を選び、公正証書による契約を結んでおきます。
元気なうちに自分の意思で備えられるため、終活の一環として注目されています。
成年後見制度の利用方法
ここでは、法定後見制度を例に、実際の利用の流れをご説明します。
ステップ1:家庭裁判所へ申し立て
本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。神戸市にお住まいの方は、神戸家庭裁判所が窓口になります。申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などです。身寄りがない場合は、市区町村長が申し立てを行うこともできます。
ステップ2:必要書類の準備
申し立てには、以下のような書類が必要です。
- 申立書
- 本人の戸籍謄本・住民票
- 医師の診断書
- 財産に関する資料(預貯金通帳のコピーなど)
特に医師の診断書は重要で、本人の判断能力の程度を判断する材料になります。
ステップ3:家庭裁判所による調査・審理
家庭裁判所の調査官が本人や申立人から事情を聞き取り、必要に応じて医師による鑑定が行われます。その後、誰を後見人にするか、どの類型にあたるかが判断されます。
ステップ4:後見人の選任・開始
審理を経て、家庭裁判所が後見人を選任します。家族が選ばれることもあれば、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることもあります。選任後、後見人が本人の財産管理や契約のサポートを開始します。
申し立てから後見開始までは、通常2〜4か月ほどかかります。
成年後見制度の注意点
便利な制度に思える成年後見制度ですが、利用する前に知っておきたい注意点もあります。
1. 一度始めると原則やめられない
法定後見制度は、原則として本人の判断能力が回復するか、亡くなるまで続きます。「思っていたより費用がかかるから途中でやめたい」ということは基本的にできません。
2. 費用がかかる
申し立てには手数料や診断書の費用がかかります。また、専門家が後見人になった場合は、本人の財産から毎月報酬(数万円程度)を支払う必要があります。長期にわたる制度のため、トータルの負担も考えておきましょう。
3. 財産を自由に使えなくなる
後見人は「本人の利益を守る」ことが役割です。そのため、たとえ家族であっても、孫への贈与や積極的な資産運用など、本人のため以外の支出は認められにくくなります。「家族のためにお金を使いたい」と考えていても、思うようにいかない場合があります。
4. 後見人を自分で選べないことがある
法定後見の場合、最終的に後見人を決めるのは家庭裁判所です。家族を希望しても、専門家が選ばれることもあります。「この人に任せたい」という希望があるなら、元気なうちに任意後見制度を活用するのがおすすめです。
制度を上手に活用するために
成年後見制度は、判断能力が低下した方の暮らしを守る大切な仕組みです。一方で、費用や自由度の制限など、事前に理解しておくべき点もあります。
大切なのは、「自分や家族にとって本当に必要かどうか」をしっかり見極めることです。場合によっては、家族信託や任意後見など、ほかの選択肢が合っていることもあります。早めに情報を集め、専門家に相談しながら、ご自身に合った備えを考えていきましょう。
まとめ|まずは気軽に相談を
成年後見制度は、将来の安心につながる制度ですが、種類や手続き、注意点など、なかなか一人では判断が難しいものです。「うちの場合はどうすればいいの?」「何から始めればいい?」と迷ったときは、専門家や身近な相談先に話してみることが第一歩です。
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